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参議院付帯決議の意義と要点

 

 おかげさまで、3月30日(月)、参議院文教科学委員会でも大きな成果が得られました。

 まず、衆議院で民主党が提案し全会一致で議決された修正案が、参議院の与野党の議員によりしっかり評価・確認された上で、全会一致で採択されました。さらに、参議院文教委員会に参加している全会派(民主、自民、公明)が共同提案した付帯決議案も全会一致で議決され、政府はそれを忠実に執行することを約束しました。31日(火)には参議院本会議でも議決されて決着がつきました。

衆参両院を通過した修正案と参議院付帯決議の要点は以下のとおりです。

1.国は、国語、日本語教育に関する科学的な調査、研究、資料の作成、公表等の業務が、人間文化研究機構において引き続き維持され、充実されるよう、必要な措置を講じなければならない。(修正)

2.国は、国語に関する調査研究等の業務の重要性を踏まえ、当該業務を担う組織、当該業務の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。(修正)

3.移管に当たっては、これまで担ってきた日本語教育研究及び関連する事業等の重要性にかんがみ、引き続き当該研究や事業等を主体的に担っていくための十分な財源措置及び人的配置を行う(付帯決議)

4.同研究所に、大学共同利用機関の特性に配慮しつつ、当該研究や事業等を担当する部門を設置し、更なる充実を図る(付帯決議)

5.新たな中期計画にその質の向上を図るための措置を盛り込む(付帯決議)

6.移管後の国立国語研究所においても日本語教育データベースの更新、既存の研究開発や研究者ネットワークの継続等に支障を来さないよう、大学共同利用機関の特性に配慮しつつ、研究職にある者を適切に移籍させるとともに、適正な手続に基づき処遇すること。(付帯決議)

7.独立行政法人国立国語研究所が担ってきた国語及び国民の言語生活並びに外国人に対する日本語教育の調査研究の重要性にかんがみ、学術研究の中核機関として共同研究の活性化を図るとともに、引き続き、国語政策への貢献と外国人に対する日本語教育の振興という観点からの基盤的な調査研究、必要な研究課題の設定・実施、その成果の活用が図られるよう努める(付帯決議)

8.将来的には国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討する(付帯決議)

 以上、参議院の付帯決議は、衆議院の付帯決議の内容をほぼそのまま踏襲していますが、項目6だけは、参議院で新たに加わったものです。これは、移管にあたって、従来の研究調査や人的ネットワークの継続性に配慮した採用人事とその処遇について念押しした民主党神本議員の質疑内容を受けたもので、注目に値します。

 与野党の心ある議員が党内各派を熱心に説得しながら、政局に絡ませない形で、周到に中身を詰めたという衆議院での流れがそのまま参議院にも引き継がれたのは明らかです。

 なかでも、衆議院で超党派付帯決議の取りまとめをされた自民党の馳浩議員から参議院で同様の役目を果たされた民主党の鈴木寛議員への目に見えない「絶妙のバトンタッチ」が光を放っていました。

 質疑の中でもたびたび与党議員(自民党の水落議員、公明党の山下議員)が野党議員に対して「応援質問」をしたり、政府に対して問題提起をしたりして、付帯決議に向けて地ならしをしていました。

 このように完全なる超党派の修正議決は珍しいとのコメントが与野党の議員の口から漏れ、野党議員の「適切な修正」に自民・公明の議員が感謝する。マスコミなどではまったく目にすることのないそうした光景に遭遇すると、心を揺さぶられます。

 野党が騒いでうるさいからガス抜きのために仕方なく通す付帯決議とは違って、このような付帯決議を前にすると、役人も身を引き締めてその中身を実行に移すものなのだそうです。

 衆参両院の心ある議員のみなさんに大いに感謝しなくてはなりません。

 これから現国研関係者の方々は、10月1日の「廃止・移管」に向けて、省庁や「人間文化研究機構」と事務折衝することになります。その中で、「移管」の具体的な姿が徐々に浮かび上がってくるわけですが、その際に示される官僚の方々の良識と力量に期待しつつ、議員関係者とともに成り行きを見守ることにしましょう。

 今後ともみなさまのお力添えをよろしくお願いいたします。

修正案骨子と参議院付帯決議の全文

 

 

 

 



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